トウモロコシ畑に連れて行ってくれてありがとう

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おばあちゃんへ

子供の頃は夏休みになるとおばあちゃんの家に行くのを、毎年楽しみにしていました。1つ年下の、いとこに会えるのも楽しみだったんです。

でも今だから言えるけど、実はおばあちゃんの家に着いてドアを開けるまで、いつも怖くてビクビクしていました。おばあちゃんは怒っているわけではないけど、眉間にシワを寄せて早口で話す癖があったので、勝手に怒られているような気分になって意味もなく落ち込むこともあったのです。

本当はおばあちゃんと一度はゆっくり話してみたかったけど、おばあちゃんはいつも台所で忙しそうに動き回っていたので話せませんでした。

食事時にもみんなと一緒に食卓を囲んだと思えば、すぐにまた台所へ追加のおかずを作りに行ってしまうので、おばあちゃんと話した記憶はあまり残っていません。

ある時、いつも台所にいるおばあちゃんが、いとこや私達兄弟に外に出掛ける準備をしなさいと言いました。汚れてもいい服で来なさいと言うのです。準備をしておばあちゃんに着いて行くと、畑に行くから車に乗るように言われました。
私はその時初めておばあちゃんが車を運転することや畑のことを知ったのです。

おばあちゃんの畑はトウモロコシ畑でした。トウモロコシは立派に実っていて輝いていました。おばあちゃんはいつもよりもゆっくりとした話し方で、収穫の仕方を教えてくれたのです。上手く採れると笑顔で褒めてくれました。勝手に怖いイメージを持っていたけど、おばあちゃんの優しさに触れて嬉しかったです。

私がおばあちゃんと会話した記憶は畑での記憶しかありません。その後、突然おばあちゃんは遠い世界へと旅立ってしまったのです。

会話できた回数はわずかでしたが、とても楽しい思い出として私の心の中に深く刻まれています。

おばあちゃん、トウモロコシ畑に連れて行ってくれてありがとう。話せて嬉しかったです。

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