ありがとう

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祖父へ

亡くなったと聞いた時には「あ、亡くなったんだ」とびっくりしすぎて何も言えませんでした。
見た目は60代、体力は50代、実年齢は90歳という驚異的な祖父でした。

ありがとう。
それだけを言って、私は棺を見送りました。

責任のある人だったのでとにかく骨が帰ってくるまでに法事の準備を進めなければと、自分より何十歳も年上の会社役員さんたちに指示を出す役目を背負いました。
祖父を、お見送りに行きたかったです。

亡くなる寸前に手を握って、それが最期の別れになりました。
たくさん、祖父からは言葉をもらいました。
手紙も、それこそ私が識字する前から延々ともらいました。

本を読むのが好き、手紙を読むのも好き。
それこそ、教科書ももらったその日にすべて読んでしまうくらいに読むものに飢えるようになったのは、祖父の影響でしょうか?

あなたの書き物は、私的なものはすべて処分してありましたが、公的な文章はすべて丁寧にとってあったのに驚きました。
残務処理がとても楽で、自分の死期を悟っていたことにも驚きがありました。
よく考えたら、90歳は高齢ですよね。
あまりにも心身ともに健康で気が付きませんでした。

私も同じように、歳を重ねられるかしら?
そう思える最期を、ありがとう。

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