うまれてきてくれてありがとう

息子へ

あなたに会うまで、ママは何度か芽生えたばかりの命とのお別れを経験しました。

命が自分に宿った喜びにふるえていたのも束の間、お腹で赤ちゃんが育っていないことが分かった時、からだから流れる血を感じてしまった時、お腹の痛みに苦しんだ時、いろんな瞬間の心の痛みをまだはっきり覚えています。
その度に絶望に満ちた気持ちになり、もう自分には赤ちゃんを抱ける日は来ないんじゃないかと思いました。

でもママは諦められなかった。どうしても、自分の赤ちゃんをこの腕に抱きたかった。そして何より、大好きで優しいパパと一緒に子供を育てたかったんです。

だからママとパパはお医者さんのもとで一生懸命治療に励みました。痛みに耐えたこともありました。出口の見えないトンネルにいるようで、絶望的な気持ちに沈んだこともありました。でも絶対、諦めなかった。

あなたがお腹にいることが分かった時、ママは喜びの反面、またお別れが来てしまうんじゃないかと心配ばかりしていました。でもあなたはそんなママの心配をよそに、すくすくお腹の中で成長してくれましたね。初めてあなたが私のお腹を蹴った、あの可愛らしい感触は今でも残っています。

ママのお腹の居心地が良かったのかな?あなたはなかなかお外に出てこようとしませんでしたね。結局帝王切開で産まれて来てくれたね。あなたが取り上げられた瞬間、最初にあげた産声はまだ耳に残っていますよ。この世に産まれてきたぞ!という力強い主張でした。その声を聞いて、ママは心から安心したのを覚えています。

これからの長いあなたの人生、ママはいつでもあなたのそばについていますよ。嬉しいことも、楽しいことも、辛いことも、たくさん一緒に経験しようね。

心から、うまれてきてくれてありがとう。

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