- 10 先輩・上司へのありがとう
- 2020.05.17
働く喜びを教えてくださってありがとうございます
亡き上司へ
あれからしばらく時がたち、Tさんが心筋梗塞で急逝されてからもう8年がたちますね。バラが趣味だったTさんは、春に開催されるバラの展覧会に来いと私たち家族を誘ってくださり、丹精込めて育てたバラの花束をお土産に持たせてくださったのは、亡くなる2週間前のことでした。
Tさん、私に仕事をすることの喜びと楽しさ、人生をタフに美しく生きることを教えてくださって、ありがとうございました。
新入社員として外資系企業に入社し、それまで病気1つしたことのなかった私でしたが、24時間のSEの激務では戦いきれず、私は適応障害になってしまいました。
3か月の休職を経て、異動になり本社の購買部にお世話になることになりました。そのあと、社内の大幅な早期退職プランが出され、部長以下多くの社員が早期退職を希望したために、私は購買部で唯一の正社員となってしまい、直属の上司がいない時間を過ごさなくてはならなくなりました。通常ではありえないことですが、そんな折常務だったあなたが一時的にではありますが、私の上司になることになりました。
最初から注文が厳しくて、書類の書き方ひとつ受け取ってもらえず、苦労しました。論理的に物事をとらえることが得意なTさんと、感覚で生きている私の間には深い溝がありましたが、何度となく議論になりきれない議論をして、私は心にストレスを溜めることなく、24時間戦えなくても、仕事ができる喜びそして、楽しさを初めて知りました。
そして、ある時、私は「T語録」なるものを作りましたね。
あなたがいろいろ私に指南することを面白がって、メモしていたらいつの間にか、語録にできるほどたまってしまったのです。
常務を退職する時に、プレゼントしたらその場では大した反応もなかったのに、他の部署の部長が語録を欲しいと私のところに来られて、とても驚きました。
嬉しかったそうで、他の人に見せていたとか。
「今の経験はお金を出しても変えない経験だから、できるだけ楽しみなさい。」「すべての人に時間だけは平等に流れている。」
「上司が言うことが常に正しいわけではない、自分の目と経験、勘を大切にしなさい。」
「感情的になるのではなく、論理的になりなさい。」
もう語録を読み返さなくても、頭の中にしっかりと入っています。
そして、この考え方は、仕事だけではなく、私の生き方にも通じているところがあります。
Tさん、仕事を通して、人生を楽しむコツを教えてくれて、ありがとうございました。本当は、もっと長生きしてほしかったです。それでも、私はTさんに逢えたことを感謝しています。ありがとうございました。
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