言えなかった ありがとう

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おとうさんへ

 昨年9月、93才で実父が亡くなりました。
8年前に母が他界し、ひとり暮らしをしていましたが、私の主人の仕事がうまくいかず、倒産という事態になり、家を手放すことがきっかけで、思い切って私は実父と一緒に暮らすことにしました。
 大正生まれの頑固な父は、高齢化もあり、すぐどなります。実の親子ですから私も大きな声で罵倒を浴びせ応戦します。でもすぐ忘れて、今日の天気やニュースの話になり、そんな時血が繋がっているってすごいと思います。
 だんだんと弱っていく父、認知症はなかったですが、物忘れも増え、最期は食べることも億劫になり、枯れ木がポキッと折れたように息を引き取りました。亡くなる2か月前にあまりに食べられないので、父は入院させて頂いていました。
 看護師さんが異変に気づき連絡をくれましたが、病院まで15分の私を待ってはくれませんでした。ベッドに横たわった父は、すでに動くことはなく、その後父の臨終が告げられました。「さっきまで話してたのよ」と担当の看護婦さんから言われました。点滴を終えて離れた後、再び戻った時には息をしていなかったと話されました。
 その後は、兄弟に連絡し、葬儀社に連絡。何がどうするのか相談しながら、あっという間に葬儀も終わり自宅に戻りました。
 住んでいる所は、駅が近くにあり、商店街も歩いて5分程度でいけますが、にぎやかだったのは私が子供の頃の話で、ご近所の方は高齢者ばかりで、この辺りは過疎化しています。なので自宅に焼香に来る方もほとんどなく、実家にたまった荷物の整理では忙しくしておりました。
 ふと気が付けば、父としみじみ話したことも記憶になく、これでもう最期かなと言う予感はあったものの、父の想いを何も聞いてあげなかったなあと申し訳なく思っています。
 そして 生きてるうちに言えばよかったなあって思います。
「おとうさん、ありがとう。お世話になりました。あなたの娘でよかった。」と。

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