たった一本の電話で

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祖母へ

祖母は今年で88歳。米寿を迎えます。
高校卒業後に田舎を離れた私は、年に2回ほどしか祖母に顔を見せていません。
それでも毎年9月6日の誕生日には、電話をかけるようにしています。

今年もその日が来て、いつもどおり電話をしました。
「おばあちゃん、誕生日おめでとう」
「ありがとう。もう88歳になっちゃったよ。やだねぇ」
祖母にとって、もう歳をとることは嬉しくないようでしたが、毎年電話をかけると嬉しそうに話してくれます。

「今日はお母さんやお姉ちゃんも電話をくれたのよ。それにねねちゃんも声を聞かせてくれて、ばあちゃんは本当に幸せ」
祖母が家族から祝福されるのはもちろん初めてではありません。何度も繰り返してきたことなのに、特別なことにように話します。

大げさだねと私が笑うと、祖母はこう言いました。
「そんなことないよ。こうやってねねちゃんの声が聞けるだけで、これまで生きてきて良かったって思う。ありがとう。本当に本当に幸せなんだよ」
いつになく改まった、心のこもった祖母の言葉を聞いて、思わず胸が熱くなりました。

大して顔も見せない孫から電話がくるだけで、生きてきてよかったと言える祖母の心の温かさが素敵だと思いました。
最近の私ときたら、人生うまくいかないことばかりで、生きてる意味なんてあるのかなあと思うこともしばしばです。
それでも、たった一本の電話で祖母を幸せに出来るのならば、私にも生きる意味があるのかなぁなんて。

おばあちゃん、大切なことを気づかせてくれて、本当にありがとう。

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