あの時は言葉も交わせずに別れてしまってごめんなさい。

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とよさんへ

あなたと別れてもう7年経つんですね。
あの時、あなたは私が決死の覚悟でダイヤルしたのに
一言の弁明もさせてくれずに電話を切ってしまったけれど、
あれは怒っていたんじゃなくて、あなたのやさしさかもしれないですね。

ありがとう。

もう二度と会うこともないと思うけれど
ずっと心に引っかかっていて、忘れられないあなたに
せめてこの場を借りて、ありがとう、そしてごめんなさい、と伝えたいです。

とよさんとの出会いは10年ほど前になります。
当時は主人と一緒にデザイン事務所をしていたのですが
もともと自営するほどの力もなかったのか、生来のお人よしがたたったのか、だんだん経営が思わしくなくなってしまい、仕事の合間や時間が空いた時に私はネットの掲示板サイトを使って日々の鬱憤を晴らしていました。

ネットの世界は私を知る人もいない嘘の世界なので、その中で私はきれいな言葉を並べては満足していました。
そこで知り合ったとよさんは、やはりどこか私と似た心に闇を抱えている人のようでした。
意気投合していろいろ話すようになってからは、「表面だけ仲良く」ということが出来なくなってきてしまって、お互いの素性や悩みまで打ち明けあうようになっていました。

そしていつしか、今いる場所から「逃げ出したい」とまで思うようになって
その助けをとよさんにやらせてしまおうとしてしまいました。
心がばらばらになった私たち夫婦が破綻するのは時間の問題でした。
会社もたたみ、離婚した私。
やっととよさんとの新しい生活に・・・そう思ったのに。

・・・とよさんはそれを受け入れてはくれませんでしたね。

結局、私は全てを失い、子供にまで見放されてしまいました。
すべては自分のせいだと思っています。
あの時とよさんが私を受け入れていたら、と思わないわけではないけれど
それが叶ったとしても幸せだったか分からないです。

きっとこれで良かったんだって今は思えるので、もしも会えるなら
ありがとう、迷惑かけてごめんなさい。
そう伝えたいです。

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