- 02 お父さんへのありがとう
- 2018.12.06
ありがとう
お父さんへ
父へ感謝の言葉を述べたのは私の結婚式前夜でした。
お互いの家族だけで、食事会をする。
そう伝えて、今主人になった人の実家の大広間で結婚披露宴をしました。
その前夜のことです。
幼いころから超多忙の父だったので、結婚式前日に顔を合わせた時に「お久しぶりです。いかがお過ごしですか?」と、まるで取引先の人としゃべるように父と会話しているのをホテルの人に見られて不思議そうな表情をされましたね。
顔だけを見ると私たちはよく似ているので、黙ってさえいれば掛け値なしに親子とよく言われます。
しゃべりだすと、よく似た他人のようで「ふつうは逆ですよね」と笑いあうような関係。
前日の父と娘の会話は
「ふむ、そういえば人の親でした」
「私も、どうやら人間の子供だったみたいですね」
「あまり顔を合わせたことがないから、明日はあちらの家族の前で不自然にならないように気を付けましょう」
と、二人でおかしな会話をしていた記憶があります。
大変愉快な結婚前夜でした。
普通の親子に無い会話と、ジョークが飛び交い、一緒にいた母や祖母はおなかを抱えて笑っていましたね。
そんな私たちでしたが、眠る前にふと気が付いたのでしょう。
「ふん、そうですか。貴方は血のつながりだけで家族ではなくなるんですね。父として、一言。改めておめでとうございます」
「戸籍はとっくに家族ではなくなってますよ。ありがとうございます」
人から見れば、そんなそっけない「おめでとうございます」でした。
でも、私は父から直接「おめでとうございます」がもらえてうれしかったです。
祝いの言葉と、この世に送り出してくださったことと、そのあとここまで育ててくださったこと、心からお礼を申し上げます。
お父さん、ありがとう。
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