『おでん』美味しかったよ

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天国のおばあちゃんへ

小さを頃から一緒に住んでいたおばあちゃん。

両親が共働きだったけど、おばあちゃんがいつも家で帰りを待っていてくれたから鍵っ子にならず、笑顔で『おかえり』って言ってくれたね。
玄関を開けてすぐ部屋で一緒に食べるおやつは、
ちょっとおばあちゃん好みの渋いやつ。
そのせいか、今もお煎餅やかりんとう、黄身餡のお菓子が大好きだよ。

たまに夕ご飯も作ってくれて、レパートリーはカレー、他人丼、コロッケ、おでん。
お母さんが残業で遅くなっても寂しくないように、ごはんを作ってくれたね。

そんな生活が中学生まで続いたある日。
お母さんの残業が続き、おばあちゃんが夕ご飯を作る日が多くなってた。
その日もおばあちゃんが作った夕ご飯。並べられた料理を見て一言『またおでん?やだ』。
反抗期な私は、寂しそうな顔したおばあちゃんに謝りもせず、文句を言って食べてた。

次の日からおばあちゃんが夕ご飯を作ることはなかった。

高校生になりどんどん会話も減っていき、ボケ始めたおばあちゃんにどう接したらいいのかわからなくなっていた。

社会人になり、介護の必要なおばあちゃんとの接点はほとんどなくなり、実家に帰っても挨拶程度。
でもいつもにこにこ笑顔で迎えてくれて、帰るときは悪い足を引きずりながら見送ってくれた。

その後、施設に入ったおばあちゃんの意識がなくなり、亡くなるまでの数年間…どんなに後悔したことか…。

もっと話しが出来る時に、たくさん話をしたかった。

あの時、夕ご飯に文句を言ってごめんって…
おでん美味しかったよって…
いつもありがとうって…

大人になるにつれ冷たくなった私をおばあちゃんはどう見てたのかな?呆れてる?

でも私の心の中には、にこにこ笑顔のおばあちゃんがたくさんいるんだ。
でもただ一つ、あの時の寂しい顔をしたおばあちゃんに伝えたい。
『作ってくれてありがとう!おでん美味しかったよ!』

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