夏が来ると思い出す、おばあちゃんの味

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おばあちゃんへ

毎年夏休み時期が来ると思い出します。

私が6歳の時の8月、母が里帰り出産するため私と2歳下の弟と三人で、しばらく母の実家でお世話になることになりました。

母の実家は、おばあちゃんおじいちゃん、母の姉夫婦とその子供たち2人の計6人家族で、私と弟は少し年上の従兄弟たちと毎日ワイワイしながら楽しく過ごしていました。

しばらくして母が産気づき病院へ。
急に母がいなくなり、私は途端に不安になりました。
あんなに楽しく過ごしていたのに、毎日メソメソしていました。
2歳下の弟はまだ小さく、よく分かっていない様子でしたが、6歳の私は母に置いていかれたような気がしてとても悲しかったのを覚えています。

メソメソしている私におばあちゃんは真っ赤なトマトをカットし、たくさんのお砂糖をかけて「これ食べてみな」と私に出してくれました。

それまで家でトマトにお砂糖をかけたことがなかったからビックリです。
どちらかと言うと「甘い物はダメ!」と母に言われていたので、正直本当に食べていいのかとまどいました。

恐る恐る一口食べてみると・・・甘くてすっごくおいしい!
キンキンに冷えた真っ赤に熟したトマトにたくさんのお砂糖、まるでスイーツを食べているかのように甘くておいしかったです。

母の実家は東北地方で、それ以外にお赤飯にもお砂糖をかけて食べるそうです。
その甘い甘いトマトに元気をもらい、寂しくても我慢できたような気がします。

その後、無事にもう一人弟が生まれ母は戻ってきました。

私はいま40代になり家族ができて、おばあちゃんはもうこの世にはいませんが、今でも夏になるとあの時のこととおばあちゃんを思い出し、家族に内緒でトマトにお砂糖をかけてコッソリ一人で食べています。

おばあちゃん、ありがとうね。
トマトにお砂糖は今でも私の元気のもとだよ。

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