ありがとう、あなたを見直しました

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父へ

私の父と言えば横暴、独りよがり、昭和の亭主関白、威張りん坊と自己中の塊みたいな人。
自分でもその自覚はあるみたいなのに、お父さんはちっとも直そうとしません。

70年以上、ずっと威張り散らして生きてきたので、ストレスもないし大した病気もしないしで、ゴーイングマイウェイであなたは良かったね、ハイハイという感じで、私は正直、生まれてこの方お父さんを良く思ってない時間の方が多かったです。

しかし、母が今の医学では根治の方法がない難病にかかり、母より6歳も年上のお父さんには、想定外の「母の看病」をすることになってしまいました。
今は家族で協力して母を支える毎日。

正直、わがまま放題のお父さんに、何も期待してませんでした。
ところが…、いざとなると、私よりはるかに積極的に母の介助に入ってくれていますね。あんなに横暴だったお父さんが、今ではお母さんの手を取って階段を上り、血行が悪くなった足を揉んでいる。

母には申し訳ないと思いながらも、病気のため、始終うなり声をあげている母のそばにいるのは私でも時に参ってしまいそうになるのに、お父さんはほぼ、趣味の囲碁で一日おきに2時間ほど出かける以外は、24時間母のそばにいる。

私はそんなあなたの深い愛情を見て、昔は母に「何であんな横暴な人と結婚したのだ」と聞いたりしていたけど、案外選んだ人間違ってなかったよと思ったりしています。

自分のペースを崩さない人のせいか、態度も冷静だし、母が病気になっても参ったりしないのは、かえって自己中なのがいい風に働いているのかな?なんて思ったり。いえいえ、これは誉め言葉です。

とはいえ、お父さんも若いとは言えない年齢、あまり無理をしないよう、娘たちはあなたの健康を案じています。
私より、お父さんにありがとうと思っているのは、今は母かもしれないけど、私一人では支えきれなかったろうと思うから、お父さんにはありがとうと言いたいです。

120歳まで生きる予定のようなので、あと人生がまだ45年ほど残ってますが、これからも元気に有意義に過ごしてください。
お母さんは以前、次に結婚するのは他の人がいいよ。毎回同じじゃつまらないよと言っていて、それをうっかり聞いてしまったお父さんは「俺はお母さんが良かったのに」と落ち込んでいましたが、きっとお母さんは今は考えが変わったと思います。よかったね。

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