あの日に伝えられなかったこと

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番茶のおばちゃんへ

今でも忘れない2002年11月2日。番茶(店名)のおばちゃんは覚えているかな。

私は新車を購入してドライブがしたくなって、突然番茶に御飯を食べに行った。福岡から山口まで片道約140kmのドライブだった。番茶に着くと、おばちゃんは相変わらずドンと足を突き出してテレビを見ていた。

「ガラ!(ドアの音)」 「あら!なんかね~。よくいらしゃいました(笑)」。おばちゃんと土産菓子を食べながらテレビで競馬を見て、夕食には豚カルビ定食を注文。おばちゃんがキッチンに入ると、私はいつものようにカウンターに座った。この光景を何度見ただろう。大学時代、毎晩お世話になった番茶。

「今から絶品が食える!」と思うと、おばちゃんが料理する姿を見てワクワクしていた。この日に出てきたカルビは特別に大きかった。サラダスバゲティもサービスしてくれた。そんな「特別」が、私にとって生涯最後の「番茶定食」となった。

2002年11月7日、番茶のおばちゃんは亡くなった。11月2日、私が福岡へ帰る時に聞いた、おばちゃんの言葉が忘れられない。「いや~、今日会えるとは思ってなかったよ~」「実はね、昨日母親がはじめて夢に出てきてね。顔は見えなかったんだけど、声だけがするんよ。その後、カウンターにあんたが座っているんよ~。わたしゃ~久々に奇想天外な夢を見たんよ~」

番茶を通して私がいただいた思い出の数々、学んだ事のすべては決して生涯忘れることはない。何かの時、いつも番茶のおばちゃんの言葉が思い返されるし、教訓として心に深く刻まれている。山口には大学のために行ったのではないとはっきり断言できる。山口と言えば番茶。第二のふるさと。感謝しかない。本当にありがとうございました!

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