守ってくれてありがとう

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お父さんへ

現在20代半ば。名のある大学を卒業し、新卒で働いた会社は俗に言われるブラック企業で7か月で辞めた。そのまま、学生時代にインターンしていた会社にお願いをし働かせていただけるようになった。インターン時代には気づかなかったが、その会社も実態はパワハラとセクハラが当然とされている会社だった。残業も加わり日々紋々と働きながら1年が過ぎ、気づけば半ば鬱のようになっていた。社会人2年目。すでにその会社も辞めたい気持ちでいっぱいだった。毎日帰宅の電車に揺られながら「20代を死んだ目をして過ごす自分」に嫌気がさしていた。自分は人生を無駄遣いをしている、そこまで考えるようになった。そしてある日私は泣いた。父親の前で。父は、会社を辞めることに反対はしなかった。でも、辞めた後の道筋は立てなさい、と言い、「5年後、10年後はどうなっていたいのか」と私に聞いた。私はその質問には答えられなかった。ただ、小さいころから海外や英語に興味があり、外国に住んでみたいという夢があった。そこで、お金が貯まっていたこともあり、オーストラリアへワーキングホリデーに行きたいと伝えた。父親からしたら、娘が新卒2年半の間に2度会社を辞め、逃げるように海外に行くことは全く誇らしい出来事ではないだろう。私もこんな娘で大変申し訳なく思っていた。でも、もう限界だった。泣きながら部屋に籠る私に父は「もう大人なのだからしっかりしなさい。」と諭しながらも、「今やりたいことがあるのならやってみなさい。1年思いっきりやって、それでも失敗したらお父さんとお母さんが守るから。」と言葉をかけてくれた。こんなに情けない娘なのに、それでも応援してくれている。親からの無償の愛を感じた瞬間だった。その後、私は会社を辞め、オーストラリアへ渡った。約1年、海外で学生生活を送り、アルバイトもし、世界中の同年代の人達とシェアハウスで暮らした。海外で暮らす大変さもあったが、毎日が充実し、心から満足する日々を送った。現在、そこで出会った方と結婚を前提にお付き合いをしている。オーストラリアへいるとき、父の言葉を思い出しては感謝の気持ちでいっぱいだった。そして、こんな娘でごめんなさい、と思うと同時にお父さんへありがとうの気持ちが尽きないのであった。

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