私に歴史を与えてくれた人

おばあちゃん、お元気ですか？最近、おばあちゃんは認知症になりましたね。
私の小さな頃の記憶は、もうほとんど無くなっていることと思います。
きっとあなたは忘れているでしょうが、あなたは私に「記憶することの大切さ」を教えてくれた方です。
「大人になると何でもかんでも忘れちゃうから、子供の気持ちが解るしおんちゃんは羨ましい」と話しかけてくれたことがきっかけで、私は日々を大切に記憶することにしたのです。
私は27歳になりましたが、小さな頃の出来事、感情をよく覚えています。
今でも印象深い記憶は、大人の人が子供に向かって言う「かわいい」です。
子供が変なことを言ったり、変なことをしたりしたときに、笑いと共に出てくる「かわいい」
何が「かわいい」のかを知りたくて、祖父に聞いたところ、「子供は変な発想をするから面白くてかわいいんだよ」と言われ、「絶対に自分の子供にはこんな対応はしない！！」と強く心に刻みました。
そんな記憶を毎日思い出して、忘れないように心掛けることが出来たのは、おばあちゃんの「大人になると何でも忘れる」という一言です。
その一言がなければ、それ以外の数々の私の思い出はなかったことでしょう。
おばあちゃんは、これから記憶をなくしていくと思いますが、代わりに私がおばあちゃんから教わった数々のことを、将来、出会うであろう私の子供や孫、そして、その他の子供たちに伝えていけたらと思っています。
大切な思い出を作るきっかけをくれて、ありがとうございます。
記憶が無くなっても、大好きだよ。

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