この世でたった一つの宝物

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祖母が無くなってもうすぐ、1年経とうとしています。

私の手元には、何冊かの短歌集があります。
歌人だった祖母が所属していた会のもので、勿論、祖母の短歌も収められています。
祖母が亡くなり、遺品整理の時に、親戚中が
「この短歌集にはあなたと子供たちの事が一番多く載っているから、あなたが持っていなさい。」
と言って、私が持つことになったのです。

祖母は91歳で亡くなる数か月前まで、毎月短歌を詠み、発表していました。
数年前は短歌のコンテストで大賞を受賞したほどの腕前です。
この短歌集には、祖母と私たちで動物園に行った日の短歌。
祖母の裏庭でドングリを拾った日の短歌。
祖母が私に宅配便を送った時、荷造りに難儀したという短歌。
などが載っています。
日常の風景が祖母の紡ぐ言葉で、生き生きと輝いているのです。

時々、短歌集を開いてみます。
その瞬間、祖母と過ごしたあの時間が鮮やかによみがえってくるのです。
芸術は、人の心が生み出すもの。
祖母の短歌には祖母の心が今なお、生きていて豊かな時間が流れているのです。

おばあちゃん、この世でたった一つの短歌をどうもありがとう。
これらは私たちにとって、かけがえのない宝物となっていますよ。
そして、おばあちゃんと話ができる、タイムカプセルでもあるのです。

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