気遣ってくれてありがとう

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パン屋のおばちゃんへ

大学から一人暮らしを始め、社会人になって親に随分と迷惑をかけていた私は、大丈夫だからと仕送りを断りました。しかし、実際は、生活が成り立つのかとても不安でした。当時は、仕事柄、残業が多いのは承知の上で入社しましたが、社長さんが慣れていない新入社員は辛いだろうからと、残業は最小限にしてくれていました。

しかし、基本給だけでは、生活はできないのも事実でした。それに、残業が3時間を超すと、残業食と言って夕飯が食べれたので、一人暮らしには有り難い手当でしたが、仕事もできないのに、残業だけかって出るのも勝手な話だと、できるだけ生活を切り詰めていました。

会社の近くのパン屋さんで、お昼にパンを一つ買うか二つ買うか悩んだり、一つ買って、足りないと終業時間を待ってもう一つパンを買ったりしていたのを察知したのか、おばちゃんが、売れ残りのパン、もらってくれる?とこそっと、くれるようになりました。

頻繁にくれるので、申し訳なく、一度菓子折りを持っていくと、おばちゃんは、若い子が気を使う必要なんてないよ、しっかり食べて元気に仕事しなさい。お返しは気持ちだけもらっておくから、会社のみんなで食べなさい。と言ってくれました。

私の苦しかった生活を助けてくれた、パン屋のおばちゃん、ありがとう。いつもおばちゃんを見ると疲れていても元気になりました。

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