長い間お疲れさまでした。

父へ

「今年度いっぱいで仕事を退職しようと思うよ。」
そんな電話が来たのは半年前ぐらいだったかな。

いつもは母と長電話をするのだけど、珍しく父から電話が来たから不思議に思っていたよ。
40年以上忙しい職場でお疲れさまでした。
病気の人を救う仕事はてもすばらしい仕事だけれど、その分負担は大きかったね。

お休みの日も急にお仕事になったり、遠くまで遊びに行けなくてごめんねっていつも謝っていたね。
でも、家にいるときには小さい私たちとたくさん遊んでくれたこと、忘れないよ。
大人になったらわかる。本当は当直明け、疲れて眠りたかっただろうなあ。でも、そんな素振りは少しも見せず、たくさん遊んでくれたよね。

そんな父を見て育った私たち姉妹は、みんな　と同じ職に就きました。
「忙しいぞ。結婚できないかもしれない。定年もないんだよ。苦労することが多いぞ…」
私たちが同じ職に就くこと、あまりいい顔をしなかったけれど、母から、「悪い気持ちじゃないよなあ」と言っていたと聞きました。

そうでしょう。
だって、忙しいし、結婚の予定はないし、定年もない。苦労することも多いけれど、悪い仕事じゃないもの。
あなた仕事への姿勢は、私たちの職業観を育ててくれました。今の仕事、私は好きです。

お父さん、これからはたくさん旅行に行ってたくさん遊んで、毎日楽しく暮らして欲しいです。

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