おばあちゃんのトマト美味しかったよ、ありがとう

おばあちゃんへ

子供の頃、夏休みにおばあちゃんの家へ遊びに行くのが何より楽しみで、毎年7月になると早く夏休みが来ないかなとワクワクしながら毎日過ごしていました。

おばあちゃんの家までは車で3時間と子供には遠い距離でしたが、おばあちゃんに会えるのが嬉しくて車の中でずっとはしゃぎすぎて、よく父に怒られたんですよ。

おばあちゃんは私達が着くとすぐに、家の裏の畑に連れて行ってくれましたよね。そこにはツヤツヤで真っ赤な大きなトマトがたくさん。好きなトマト取っていいよと笑顔で言ってくれるのが本当に嬉しかったです。

おばあちゃんが真っ白なエプロンで拭いてくれたトマトを、畑で思いっきりかぶりつく瞬間がたまらなく好きでした。本当はトマトは苦手だったけど、おばあちゃんのトマトだけは美味しくて食べられたんですよね。

おばあちゃんが愛情込めて育てた大きなトマト、本当に美味しかったよ。ありがとう。

そして洋裁が得意なおばあちゃんは私のピアノの発表会が近付くと、必ずワンピースを作って送ってくれましたよね。夏休みにおばあちゃんの家へ行くたびに、私のウエストとかの寸法をメジャーで測ってくれて。くすぐったくて黙っていられない私に、これ終わったら美味しいトマト食べられるから我慢するんだよと、いつも言い聞かせてくれました。

そして送ってくれたワンピースと一緒に必ず入っていたのがトマト。いつも緊張せずに発表会を終えられたのは、おばあちゃんのワンピースとトマトのおかげだと思います。

おばあちゃんが亡くなってから7年。おばあちゃんのトマトが今でも食べたくなります。私にとっての特別な味。もう叶わない願いです。

でも、愛情を込めて育てればおばあちゃんのトマトの味に近付けるかもしれないと信じながら、5年前からトマトを育て始めたんですよ。

畑ではなくベランダのプランターで細々と育てているので、あんなに大きなトマトにはなりませんが、自分で育てたトマトの味は美味しく感じます。おばあちゃんのトマトには程遠い味ですけどね。おばあちゃんのおかげで、ベランダ菜園が趣味になりました。

おばあちゃん、本当にたくさんの愛情をありがとう。天国から見守っていてくれると嬉しいです。おばあちゃんのトマト、最高に美味しかったよ。

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