- 13 その他のありがとう
- 2019.03.06
20年前のありがとう
ロンドンの地下鉄で会った紳士へ
20年前の3月上旬。
同じ大学の友人2人と共にイギリスのロンドンへ旅行へ行きました。
「英国」に対して並々ならぬ憧れのある3人娘の卒業旅行でした。
青空の元で飲んだ何てことない紅茶…紙のカップに
ティーバッグを突っ込んだだけ…が異様なまでに美味しかったことも
忘れられません。
憧れの国の空気を吸っているだけで私はとても幸せな気分でした。
貧乏旅行だったため、食事はスーパーで買ったものを安ホテルのベッドで…
ということもありました。若かった胃袋は連日のフィッシュ&チップスに
負けることもなく、瞬く間に楽しい時間を過ぎ去りました。
お土産に沢山の紅茶(ティーバッグ)を買い込み、
行きはスカスカだったスーツケースも満たされました。
ご多聞に漏れず「帰りたくない」と後ろ髪を引かれながら
ヒースロー空港へ向かいました。
お土産の詰まったスーツケースを手に提げて、
ロンドン・チューブ(地下鉄)の階段を下ります。
ちょうど電車がゴーゴーと音を立てて入って来ていました。
私が踊り場で一旦手を離したその時、
後ろから階段を駆け下りていたスーツ姿の男性が
私のスーツケースを手に階段を下りて行きました。
「この期に及んでやらかしてしまった。」
スリや盗難には重々気を付けて過ごしてきた数日間。
帰る日になって強奪されたとものの数秒間で脳は判断しました。
「あ・・・。」
としか言えない、あっという間の出来事でした。
なんとか階段を駆け下り男性を追いました。
ホームに着いた男性はスーツケースを階段の下に置き、
はじめて振り返りました。
そして、ニッコリ笑って ”Much easier, right?”
そう言うと、彼は足を止めることなく、
タイミングよく開いた列車のドアに吸い込まれて行きました。
“Much easier, right?”
「これならラクチンだろ?」と言うことだったのだと思います。
私はまさに英国紳士を目の当たりにしたのでした。
私の”Thank you!” は彼に聞こえなかったはずです。
「ありがとうございました。」伝えたいなぁ。
それからかなりイケメンだったし、タイムスリップして、
「せめてお名前を!」とも伝えたいです(o^―^o)
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