生きてるだけでありがとう、と言ってくれてありがとう

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強く優しい彼へ

地方から上京して社会人になった頃のことだった。
初めての職場で仕事も人間関係もうまくいかないことが続き、
「自分はなんのために生きているんだろう」
とできない自分を責め、精神的に苦しい日々だった。

同じく仕事を始めたばかりの彼とは週に一回会えていたが、
ふと仕事のことを考えてしまい、泣いては困らせていた。

ある日彼は、職場へ向かうわたしに着いてきてくれた。
通勤電車の中でわたしは何度も「行きたくない」と泣いてしまった。
彼は何も言わず隣に座ってくれた。

駅のホームに着くと足が動かなくなり、気持ちがぐちゃぐちゃになって
しゃがみこんで泣いてしまった。
ハンカチを差し出す彼に、わたしは心配させまいと言わないようにしていた
言葉をとうとう言ってしまった。

「いなくなりたい」(それでも口に出すのが怖かったので紙に書いて伝えた)
そのときの彼のとても悲しい顔を今でも覚えている。
その顔を見て申し訳なく思った。
もう振られてもいい…
そんな顔をさせてしまうわたしはいないほうがいい…

しかし彼は「君は居てくれるだけでいいんだよ」と言ってくれた。
そう言ってくれる人がいる、というだけでわたしの心は救われたのだった。

後日、彼から手紙が届いた。
『今、自分の人生をどう生きていけばいいのか、
自分の存在意義に対してこれまでないくらい悩んでいる時期だと思います。
俺はあなたの内にたまに現れる心の闇を完全に理解することはできません。
ただ、その暗闇の中で手を繋いで一緒にいることはできます。
いつかその暗闇が晴れて、あなたがありのままの自分を認め、
愛せられるようになるまで(なった後もならなくても)
俺はあなたと一緒に居続けます。
生きていてくれてありがとう。』

部屋でひとり、手紙を読んで泣いた。
言っても言い切れないくらい、ありがとう。
わたしもあなたと一緒に生きていきたい。

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