ありがとう

大好きなはたちの親友へ

たくさんの人が行き交う大学のキャンパスで、目が合うといつもふわふわした優しい笑顔で名前を呼んでくれたね。いつも会えるのが楽しみだったよ。私と話すと穏やかな気持ちになると言ってくれて、私の方が穏やかな気持ちをもらっていたよ。

ふたりでお泊り会も楽しかったね。一緒に買い出しして、一緒にごはんを作って食べて、寝る間も惜しんでたくさん話をしたよね。恋の話も、将来の話も、どうしてこんなに話すことがあるんだろうってくらい、ずーっと話していられたね。

一緒に卒業旅行にも行こうねって話したね。ドイツ、フランス、イタリア。スペインとポルトガルも行ってみたいなぁ、って、コーヒーを飲みながらまだ見ぬ遠いヨーロッパに想いを馳せたよね。

大切な親友のあなたがいなくなって、もう15年になるね。あの後普通に就職をして、今では普通の毎日だけど、コーヒーの香りがするたびに、あの日の夢みたいな時間にタイムトリップできるし、教えてもらった喫茶店は今も私のお気に入りだよ。

あなたと行くはずの卒業旅行、ひとりで行ってきたんだよ。あなたに借りたままだった本を持って、あなたの好きだった音楽を聴きながら、鈍行電車に揺られてヨーロッパを巡ってきたよ。たくさん写真も撮ったよ。一緒に見たかったな。

私と出会ってくれてありがとう。ステキな場所をいっぱい教えてくれてありがとう。CDや本をたくさん貸してくれて、私の世界を広げてくれてありがとう。何気ない日々が素晴らしいって教えてくれてありがとう。たくさんの思い出をありがとう。優しい気持ちをありがとう。

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