いろいろあったけど・・育ててくれてありがとう。来月結婚します。

天国のお父さんへ

私の父は不器用で純粋な人。
小学低学年の頃「なんでこの人が私のお父さんなんだろう」って、
同級生の父親と比べ、あまりにも違いすぎて悲しかったことが思い出される。

俗に言う内弁慶なタイプ。父親の勤め先の社長は、働き者で真面目な社員だと絶賛していたけれど、家では気に入らないことがあるとよく母親に手をあげていたし、子供たちに暴言を吐いて時には叩くこともあった。
そんな父親に反発していたのが私で、賢い妹は不穏な空気を察すると
さっと身を隠し避難していた。

お父さん。
お父さんがアルコール中毒になって、糖尿病になって、肺炎になって・・
病院を嫌がって、体調がどんどん悪くなって。
何回も病院へ行こうと泣きながら説得して疲れて。そんなことを繰り返して。
一緒に住んでいたお母さんと妹は毎日切なかっただろうね。

最後となった入院の日々は父親に付き添いながら、昔のことをよく思い出していました。

私が高校生のとき。朝から30度を超える猛暑続きの日だった。
クーラーの風が心地よく快適なバスの中からふと外を見た時の・・偶然にもお父さんを見つけてしまった。
日射病にでもなりそうなかんかん照りの昼下がりに、一人黙々と機械を動かしている姿に。昼休憩の時間帯なのに休憩もとらずなぜ一人で？・・そんなことを考えながら、ただもくもくと手を休めないでいるお父さんの姿に、涙が出ました。
あっという間に信号が変わって、瞬間しか見れなかったけれど。
その姿を見た時、養ってもらっているのだということを強く感じて、
感謝の気持ちでいっぱいになったことを、思い出していたんだよ。

私は、お父さんに安心してもらいたくて、嘘をつきました。
いい歳をして結婚できないでいる娘。
せめて、少しでも安心して、喜んでもらいたくて、嘘をつきました。
「結婚する人がいるから早く良くなってよ」　あの時の言葉は嘘です。
ごめんね。
気力を取り戻してほしかったから、いつものように良くなって退院してほしかったから、嘘をつきました。

お父さん。
来月、私は結婚します。今度こそ本当です。

一緒に挨拶したのを、見てくれていましたか？
相手の人にどんな印象を受けましたか？優しくて善い人でしょう。
写真のお父さんは少し若くて、微笑んでいてくれていたので、
おめでとうと言ってくれている、そう受け取ることにします。

お父さん。
今まで育ててくれて。心からありがとう。

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