苦い思い出にありがとうを

　あの時、私はまだ18歳だった。家庭の不和で拠り所をなくした私に、当たり前のことのように迷うことなく、一緒に暮らそうと言ってくれた。君だってまだ若かったのに、あの時の君はとても大人だったよね。だけど幼稚な私は、時間が経つにつれ大切なことを忘れていった。そして最後に、君を裏切った。
　あれから25年の月日が流れた今でも思う。あの時の私は間違っていたと。

　ずっと悔み続けて、それは今も変わらない。私の人生で唯一の後悔。そして、一言だけ言いたいと思い続けている。たぶんあの時とは意味合いも、言葉の重みも違うものだと思う。あれ以来、地べたを這いつくばるようにして生きてきたからこそ、言えるのかもしれない。
「助けてくれてありがとう」

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