私に話しかけてくれてありがとうございました

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N先生へ

私は成績や素行の面で優等生ではありましたが、その一方で内に閉じており、誰も信頼せず、友達がいない生徒でした。教師から見て扱いやすければいいだろう、誰にも迷惑をかけていないのだからこの在り方は正しいはずだ、と、当時高校一年生であった私は本気で思っていました。

そんな中、私に心を開かせようと、学校を私にとっての居場所のひとつにしようと、語りかけてきてくれたのがあなたです。

最初は鬱陶しいだけでした。話しかけられるのも、あだ名で呼ばれるのも、冗談を言われるのも不快で、厄介な先生にあたってしまったなどと思ったものです。

けれど、次第にそれは嫌なものではなくなっていきました。

先生の言葉が記憶に残るのです。呼びかけられたことが印象深いのです。叱咤激励が心に響くのです。先生と話すのが楽しいのです。

いつしか私は先生に話しかけられるのが毎日の楽しみになっていました。それとともに、先生によってつけられたあだ名が生徒にも浸透し、友達と呼べるような存在も少しずつ増えていきました。
そして、私は、内向きに閉じた世界にいることの寂しさと、人と関わることの楽しさを知ることになりました。

今、私が世界を広げるために努力し、友達との関係を維持するために明るく振る舞い、細々とした気遣いを無駄と思わずやるのは、間違いなく先生のおかげです。
あのとき、たくさん話しかけてくれてありがとうございました。

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