ありがとう。

父へ

貴方の願った嫁入り先に、嫁ぎました。
泣くほど喜んでくれてありがとう。

この世には、就職が向かない人間もいるのだと30代になった私を目の前にして初めて気が付いてくれました。
息をするように仕事が好きなあなたには理解できなかったんですよね。
どうして仕事ができないんだ、なぜ続かないんだと嘆く姿に、心から申し訳ないなと思いアルバイトで身を繋いでいました。

私たち、性格もしゃべり方も顔も似ているのに、どうして仕事に関してだけは似なかったのでしょう。不思議です。
一生懸命、私を理解しようと仕事に対するモチベーションを教えてくれたり背中で示してくれたのに私にはできないことだらけでお互いに苦しかったですね。

自分の事だけでも大変なのに、身を削って社会で正社員として仕事をしながら生きていけるようにと、助けてくれてありがとうございました。
結局、私が心身ともに壊れてしまいその就職もダメになってしまってごめんなさい。あれが、私の最後の就職でした。

でも最後の就職先で、今の私の夫を父は見つけ出してきてくれました。
「この人は働くのが好きで、とても家庭も大切にしてくれる性格をしている。何よりも心がやさしくて、何でもできてでも控えめで人に恨まれない。身元もしっかりしているから君は絶対に幸せになれるよ」と縁談を持ってきてくれました。
「時代錯誤かもしれないけど、一番いい就職先だよ」と。

今、幸せな毎日を過ごしています。
驚くほど、幸せです。
ありがとう、お父さん。

心からの感謝をこめて。

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