忘れられない東京見物

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運搬業のおじさんへ

地方から東京の美術大学へ合格し、一人暮らしをしていたの学生時代。だった
私は、頻繁に絵を描いては展覧会へ出品したり、個展やグループ展を開いていました。その時、絵画の運搬を頼んでいたのはいつも同じ運送会社のおじさんでした。
東京の郊外にある私のアパートや、通っていた大学のアトリエに来てもらい、絵画を積み、そこからおじさんと私で東京23区の美術館やギャラリーに絵を運ぶこと、年数十回。道中、いつかはヨーロッパに留学したいと言う話をしたり、今回の絵のコンセプトは、なんて話をしたりしていました。
大学生活の終わり、夢だった絵画コンクールで大賞を取り、賞金を頂きました。そのお金で、これまた夢だったヨーロッパに留学することに。
一人暮らしのアパートを引き払う日、家財道具の運搬をおじさんに頼みました。もう、しばらくは見ることのない東京の街。おじさんは東京見物をしながら行こうと言い、東京タワー、国会議事堂、浅草寺など、有名な場所を巡ってくれました。
あれから何年も経ちました。久しぶりに東京へ行く機会があり、おじさんのことを思い出しました。4年間、私の夢を応援してくれていた言葉まで、鮮やかに、東京の景色とともに蘇ってきました。
おじさん、4年間どうもありがとうございました。今も心にはおじさんの優しさがしっかりと残っています。

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