「私」を認めてくれてありがとう

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あの時の担任の先生へ

私は中学生時代、“Tちゃん”という学校を休みがちな子と仲が良く中2・中3と同じクラスでした。

Tちゃんは学校に来たとしても、誰にも言わずに保健室に行ってしまうので、先生方は彼女を心配していました。

そして決まって、「さくらさん、どこにいるか知らない?」

クラスの輪に入れないTちゃんを上手く輪に入れるのも私の役目。

Tちゃんのことは好きでしたが、「どうして、先生たちはいつも私にしか聞かないんだろう。私はお世話がかりじゃないのに」そう思ってしまうことも多々ありました。ですが、私はTちゃんを放っておくことができませんでした。

中3に進級するときに担任の先生に言われたことは、「さくらさん、来年もよろしくね。面倒見てあげてね」
その言葉が、なんとなく引っかかってしまいました。

中3になり、クラス替えをして担任の先生も代わりました。
また1年、お世話がかりのような感じで過ごしました。

そして卒業式が終わり、春休みにとうこうした時のことです。

「さくらさん、ちょっと時間いいかな?」

担任の先生に呼ばれて、教室まで行きました。

「さくらさん、先生ね、あなたにすごく感謝してることがある」

私は、何のことかさっぱり分かりませんでした。

「Tさんのこと、ありがとう。さくらさんがいなかったら、このクラスが全員揃って卒業式に出ることは出来なかった。あなたの一番いいところは、陰でそういう気配りをさりげなく出来るところ。これからも忘れないでね」

その言葉を聞いた瞬間、なぜだか涙が溢れて止まりませんでした。

きっと、私は誰かに、「ありがとう」と言ってもらいたかったのだと思います。

「お世話がかり」じゃなくて「私」として認めてもらえたことが一番嬉しかったです。

今まで、「誰も私の気持ちなんて分かっていない」そう思っていましたが、「どこかで誰かが見ていてくれる」そう実感した出来事でした。

先生、本当にありがとうございました。

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