先生の教え子で良かったよ

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私の中2の時の担任は、当時20代で少し年上の「お姉さん」という感じでした。竹を割ったような性格で頼りになるし、教え方もうまくて授業が分かりやすかったです。

そんな先生は私たちの担任を終えると学校を辞め、青年海外協力隊員として遠い異国へ旅立っていきました。当時の先生からそんな話は知らされておらず、クラスのみんなは春休みになってから新聞報道で知りました。当然、何もできず、突然の別れとなってしまいました。

それから日本国内でその土地の風土や言葉を勉強して出発となるのですが、治安が安定しておらずなかなか入国できなかったようです。入国後は、先生が月に1回、地元の新聞で協力隊員の生活について連載をしていたので、それで近況を知っていました。異国でもバイタリティーあふれる性格で楽しくやっているようでした。

クラスのみんなや、個人で手紙を書くと、先生は必ず返事をくれました。時には自分で撮った風景の写真を葉書にして。全員に書くのは大変だったと思いますが、短くても必ず手書きでした。それから月日は流れ私たちは卒業し、就職したり結婚したりしました。それでもみんな「〇〇(先生の名前)のことだから、どこかの国でバリバリ働いているんだろうな」と思っていたはずです。

ところが、4年ほど前、突然元クラスメイトから先生の訃報を聞かされました。先生はいくつかの国に行った後、結婚して帰国して、子どもも産まれて幸せだったようです。まだ40代前半、乳ガンだったそうです。

それからクラスメイトの一人が先生の住んでいた土地に行く機会があり、みんなで今の写真とメッセージを添えたアルバムを作って先生の旦那さんに渡してくれました。先生は教師時代の話を家ではほとんどせず、アルバムも「終活」といって処分したらしく、旦那さんも知らないことが多かったようです。

それまで連絡の途絶えていたクラスメイトも、先生の訃報を伝える過程でSNSでつながることができました。たまに先生の思い出話をしたりもしています。生きている先生にもう会えないのは悲しくてたまりませんが、こうやってみんなと旧交を温めることができたのは先生の残してくれたプレゼントのような気がしています。

先生に会えたら「先生の教え子で良かったよ。ありがとう」と伝えたいです。

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