- 12 先生へのありがとう
- 2020.05.14
あれこれ聞かずにいてくれてありがとうございます。
昔の担任の先生へ
今ここでは少し変な感じで、小学6年生の頃の担任の先生に感謝したいと思います。
その頃、ちょっと性格の悪い同級生がいました。
本当はクラスの中にいてつらかったのは彼女のほうだと思います。勉強もスポーツもできなかったし、クラスになじめなくて、ほぼ登校拒否の状態でした。たまに来ると、私が一緒に遊びました。どうせ私にも友達がいなかったので。私だって、一応努力したのです。彼女がもっと漢字読めるようになるように、もっと彼女に良くしてちゃんと学校来るようになるように。そう思って接したのですが、彼女は漢字の勉強をしてもすぐ飽きるし(だいたい小6の私が上手に教えられたとも思えないですし)、学校にもあまり来ませんでした。
そのうち、私の筆記用具を借りていって返さなかったり、貸してもいないのに彼女の筆箱に私のペンが入っていたりするようになりました。
あるとき、私は彼女の家に遊びに行って、マンガの本を借りました。何日かかけて読んだ後、返そうと、学校に持って行きましたが、彼女が来ないので、机の中に入れておきました。
次に彼女が学校に来たとき、彼女は「マンガを返して」と言いました。私は、机の中に入れたといいましたが、彼女は「なかった。500円弁償して」と言いました。その日お金の持ち合わせがなかったのに、その場で返せと言います。私は困って、担任の先生のところに行きました。
「すみません。事情があって、500円お借りしたいのですが」
先生は一瞬いぶかるような表情で私を見ましたが、何も言わずに、財布から500円出して私にくれました。私はそれで無事に彼女にお金を渡し、数日後、先生にはきちんとお金を返しました。先生は「ああ、そういえば貸したっけ」とでも言いたそうな顔で、やはり何も言わずに受け取りました。
保護者の方から見ると、この先生、担任のくせに生徒が同級生に脅されているのにも気づかず、気付こうともしなかった、と、批判したくなるかもしれません。現に私だってこれが自分の娘だったらそう思うかもしれません。でも、私自身の話としては、この先生が余計なことをいちいちきかずに私を全面的に信用してくれたのが嬉しいです。当時はただお金を貸してくれたからありがたいという以上の気持ちはありませんでしたが、今となっては、先生が、ひょっとしたら批判の的になるところ、あえて信用して何も聞かないでいてくれたことに、感謝しています。
彼女とは中学も一緒でしたが、ほとんど関わりなく過ごし、卒業後は一度も会っていません。
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