がんこで大きな背中の父へ

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父へ

昔からとにかくがんこで、すぐ怒るイメージだった父。
山育ちの父は家族で出かけるとなると当たり前のように山でした。
しかもその山々が遠いのなんのって。車酔いする私は毎回ふらふらになっていました。それでも子供が大好きな父は毎週末お出掛けに連れていってくれて、私達に自然での遊び方を教えてくれました。
キャンプや釣り、たまには遊園地。忘れっぽい私が覚えているのだから、相当楽しかったのだと思います。
大人になった今、毎週末遊びに連れ出してくれることがどれだけ凄いことなのか、ひしひしと感じています。

父は独立して、今でもお休みは週に1回。力仕事に事務仕事、今では全てを1人でこなして帰ってきて、ご飯を食べて、夜呑みに出ていく姿もすっかりさまになりました。
がんこながら家族を養ってきて、自分の遊びも忘れない。そんな父が、言ってくれた言葉を私は一生忘れないです。

今となっては産後のホルモンバランスも関係していたのだと思います。
家族や友達のいない遠く離れた主人の元で赤ちゃんと生活する事が不安で不安で、地元にいる!と、わがままを言い続けるいい歳でしかも母親になった私に、「早く行ってあげなさい。」なんて父は1度も言いませんでした。

主人が甲斐甲斐しく私の実家に通って、両親と話している時、「今あの子を○○君のところへ行かせれば壊れてしまう。」そう言ってくれた父の言葉を聞いた時、「ああ。ちゃんと分かってくれている。もう大丈夫。私は1人じゃない。」
心からそう思えたのでした。

あれから月日は流れて、あの時の赤ちゃんは7歳の七五三を迎えて綺麗な着物ですっかりお姉さん顔でした。
衣装に着替えて撮影するのを全力でいやがる3歳の弟を、優しい眼差しで見つめる姿に、あの時私が自分の意志で、一歩踏み出す準備ができるまで待ってくれる様周りを説得してくれた、父の言葉があったからこそ、今の時間があるのだと今でも感じます。

お父さんありがとう。お父さんがお父さんであることを誇りに思います。
子供達と帰省した時はまたいつものように山へ連れて行ってくださいね。

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