最後まで《ありがとう》を言えなくて・・

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Sちゃんへ

Sちゃん、今どうしていますか? 貴女の好きだった『千の風に乗って』の歌のように、今は何処で何になってみんなを見守っているのでしょうか?

Sちゃんとの出会いは大学入学時でしたね。女子寮のルームメイトをクジ引きで決めた時、一緒になったのが貴女でしたね。

あれはもう40年も前の事。わずか6畳一間の部屋で初めての寮生活。共同のお風呂場の丁度前にあった私と貴女のその部屋は、格好のお風呂の順番待ち場となり、いつも賑やかでしたね。一人っ子で人見知りの私と違って、明るく大らかな貴女の周りにはいつも皆んなが寄ってきてワイワイガヤガヤ! 羨ましく思っていましたよ。

故郷を離れて初めての生活。5月病になって大学にも行けなくなった時、Sちゃんは《大丈夫だよー》って言って私を抱きしめて肩を優しく撫でてくれましたね。その優しいあったかい心に大きく包まれて私は再起する事が出来たんですよ!

2年生になって寮を出てからも、卒業まで共に暮らして来ましたね。時には一緒のアパートで。時にはお隣同士の部屋で。音楽が大好きだった私たち。よく私の弾く下手なギターで、当時流行っていたフォークソングをよく二人で歌いましたね。歌の上手なSちゃんの声に合わせて、私もハモらせながら大声で歌い続けた毎日でしたね。

そんなSちゃんは、大学卒業後、郷里の帰り程なくして結婚! お相手は同じ大学の仲間。外務省に勤務する彼と共に、アラブ諸国を周り、卒業後はなかなか会う事が少なくなり寂しさが募り・・。
でもメールは頻繁にやり取り出来たから大丈夫でしたよ。

そんなSちゃんが約10年前に帰国後、難病にかかり闘病生活へと一変! 通院治療中も電車の中からメールを送ってきて・・。自分の事だけでも大変な状況なのに、いつも貴女は私と母の事を心配してくれていましたね・・。

そして3年前、容態が悪化して隔離病棟へと入院を余儀なくされ・・。それでも貴女は最後まで病と前向きに闘っていました。今でも後悔しています・・。その入院前に、どうして会いに飛んで行けなかったのか、と。

そして3年前、ついに貴女は旅立っていきました。最後の言葉を交わす事も出来ず・・。まるで眠っているかのような綺麗なお顔で、沢山の方々に見送られて旅立ったSちゃん。郷里に帰った私は、貴女と仲の良かったIさんと一緒に、二人だけのお別れをしに海へと出かけましたよ。貴女の好きなフリージアの花を海へと、貴女へと。

Sちゃん、直接言えなかったけど、ずーっと親友(心友)でいてくれて、本当にありがとう!! 今でもずーっと想っています、貴女の事を・・。次に生まれて来る時も、また大親友でいて下さいね!

今日も何時も、貴女の名前を心の中で呼んでいますよ! 心から本当にありがとう!!

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