自信をくれて、ありがとう

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高校時代の友人へ

前略、
体調は崩されていませんか。疲れたご様子だということを、随分前に聞いていましたが、どうもまだ直接お会いできていないので、勝手ながら心配です。

高校を卒業してから、一年に一度程度しかおそらく、君の顔を見なくなってしまいました。それでも頻度は高い、と周りの同僚などは言いますが、高校時代にほぼ毎日顔を合わせていたことを思い出すと、とても妙な気がしてしまいます。

今度の夏に、みんなでまた会う約束をしましたね。
大学在学中にもたまにお会いしていましたが、私が社会人になった今年は、春がとても忙しかったせいか、会うまでのスパンはあまり変わっていないのに、やけに久しぶりな気がします。

さて、今日はそんな懐かしささえ覚えてしまう君に、改めてお礼を言いたくて筆をとりました。

君はよく、私の字を褒めてくれました。今も、折をみてはSNSを通じて褒めてくれますね。それが私は、とても嬉しかったんです。
もともと私は、自分の字が汚いとは思っていませんでした。世間一般から見て、整った形をした字をかけている自覚はあります。だから、「字が上手いねえ」と言われることは割と慣れていました。言われて嬉しいことに変わりはありませんが、なんとなく、そうした言葉に慣れてしまっていたんです。傲慢ですよね。ごめんなさい。

だけれど、君は私の字を見て「あなたの字が好きだ」と言ってくれました。
私、その言葉がまるで、心臓に刺さったような気がしたんです。あったかいナイフみたいな、刺しこまれて流れるかもしれない血まで穏やかに心臓を包み込んでくれそうな、そんな感覚がしたんです。

言われたことがなかったんです。「字が上手い」じゃなくて、「字が好き」なんて言われたことは。その時はちょっと動揺して、ありがとう、とぎこちなく答えることしかできませんでしたね。でも、本当に嬉しかったんです。ありがとう。

何気なく書く字でも、自分の字を愛おしいと思えるようになったのは、間違いなく君のおかげです。君がくれた自信のおかげで、私はさっき口にしたSNSで文字を使った活動を始めました。君はそれも、あったかい目で見てくれていますね。

だから、というか。こんなことを言うのは、本当はおこがましいのかもしれませんが。

私はこれからもこの文字の活動をひっそりと続けていきます。
それで、いつか君の琴線に触れるようなものが作れたのなら、これ以上のしあわせなことはありません。

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