今でも忘れられない母の思い出

亡き母へ

お母さん
久しぶりに声に出してみました。
お母さん。素敵な響きです。

今から10年前に92歳で天国へ旅立っていったお母さん。
貴方の事を思い出すたびに私の心はいつも懐かしく優しく温かくなってきます。

ほんとは毎日でも思い出したいのですよ。でも日々の生活に追われていると申し訳ないけどいつのまにか心の隅にいってしまっています。
ごめんなさい

でも、お母さんなら分かってくれますよね
だって貴方の人生も苦労の連続でしたものね
50代の若さで父はこの世を去りました。
未亡人となった貴方は残った5人の子供を育ててきました。言葉には出せない事ばかりだったでしょう

私はその時小学3年でした。父との別れが分からない年齢ではなかったけど末っ子の私はそれまで甘えて育っていたので、それからの貧乏生活がとても嫌でした。
なぜ家にはお金がないのだろう、友達が持っている鉛筆が欲しいな、甘いお菓子を食べたいな、ピアノを弾きたいな、ごはんをお腹いっぱい食べたいな、姉達のお古でなくて新しい洋服が欲しいな・・なんて、今思うとつまらない事ばかり思っていました。

貴方は外へ働きに出るようになり朝早く家を出て夜に疲れた顔で帰ってきていました。
私は姉達に世話してもらっていましたが、ほんとはお母さん、お母さんと言いながら貴方に付きまとっていたかったのですよ。
とても寂しい思いをしていました。
今思うと私が幼かったのだとわかりますけど、あの時は貴方に構ってもらえない事が不満で中学に入る頃は少しグレテしまいました。

ある日遅くに帰ってきた私を貴方は何も言わず思いっきり叩きましたね。とても痛かったのを覚えています。でもあなたは何も言わないけど涙を流していました。
夜遊びをしていた私を心配してくれていたのですね。貴方の手も痛かったのですよね
ほんとにあの時はごめんなさい。素直になれない私を辛抱強く見守ってくれてありがとう

貴方がいなくなってより強く母の愛を感じます。
そんな私も孫がいる年齢になりましたよ。もちろん夫もいますから私なりに紆余曲折した人生を送っています。
それでも貴方の人生、貴方の強さには叶いません。

落ち込んだりした時はそっと声に出して貴方を呼んでいます。お母さんと・・そして私は自分の気持ちを切り替えています。日々を過ごしていく為に。
お母さん、ありがとう

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