見ず知らずの私たちへの親切

旅先で出会った方へ

旅先での出来事です。

まだ私が大学生だった頃、友人と二人で旅行に出かけました。行先はガイドブックで見た森の奥にある小さな湖です。

湖岸にはビジターセンターもあると書かれており、秘境というほどの場所ではないと思い軽いノリで決めた場所です。

宿に大きな荷物を置いたら、身軽な装備でいざ湖へ出発です。予定では1時間ほど歩いて湖に到着したら湖岸で休憩し、帰りはタクシーで宿に戻ろうというものでした。

しかし実際は到着まで2時間もかかってしまいました。途中で人間とも車ともすれ違うことはありませんでした。そうしているうちにあっという間に夕ぐれが近くなってしまいました。

タクシーを呼ぼうと近づいたビジターセンターは想像以上に廃れています。入口に張り紙があり、なんと前年で閉鎖していました。慌てて携帯でタクシーを呼ぼうとしましたが電波も届いていません。

「こんな森の中をまた2時間も歩くの！？」
「真っ暗になっちゃうよ」

友人と二人で泣きべそをかきながら来た道を戻りはじめました。20分ほど歩いた時、後ろから車がやってきて私たちのすぐ横でとまりました。湖で釣りをしていたというご家族でした。

暗い道を懐中電灯も持たずにトボトボ歩いている私たちを心配して車をとめてくれたそうで、宿の近くまで送ってくださいました。

私は自分の計画のずさんさを反省すると同時に、快く車に乗せてくださったファミリーに感謝の気持ちでいっぱいです。

お気に入りに入れる