折り畳み傘

通りすがりの女性へ

学生時代に社会福祉士の実習のため、慣れない地域に通っていました。

ある日、それまではお天気だったのに、駅から出た瞬間、土砂降りの雨。近くにコンビニも見当たらず。遅刻しないようにと、意を決して雨の中を足早に歩き始めました。

少ししたところで、通りすがりの年配の女性に呼び止められました。女性は自分の持っていた傘を私に掲げながら、カバンの中から赤い折り畳み傘を出して私に渡してくれました。

「これ、使って！私はこの傘あるからね。返さなくていいから」と。私が戸惑っていると「こういうのはお互い様だから！あなたもだれか困ってたらそのときに助けてあげて！」と勢いよく話してくれました。

ありがとうございます、とそのときは傘をくださったことに素直にお礼を述べました。

その後も「困った時はお互い様」という言葉がずっと心地よく私自身の心に残っており、自分の行動の指針のひとつとなっています。

あの時、私に傘を貸してくださって、言葉をかけてくださって本当にありがとうございました。

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