癒しの香りをありがとう

喫茶店のマスターへ

マスター、いつも美味しいコーヒーを淹れてくれてありがとうございます。コーヒーの味と香りはもちろんのこと、マスターの笑顔に癒されるためにお店に通っていると言っても過言ではありません。いつもありがとうございます。

そして、お店を再開してくれて本当にありがとうございました。

マスターの喫茶店は繁華街の裏通りにあり、近くに安くコーヒーを提供してくれるチェーン店もたくさんあります。マスターが「コーヒーチェーンを利用する人が多いから、うちみたいな老舗が生き残り続けるのは大変な時代なんだよな」と口癖のように話すことも増えてきました。

でも、マスターの喫茶店の前を通る時に漂うコーヒーの香りは格別で、思わずドアを開けたくなるのは私だけではないはずです。前を歩く人々が喫茶店の方を振り返る光景を何度も見かけましたから。お店の前が朝会社へと急ぐ人々の癒しの空間になっているのです。

ある朝、会社に行こうと喫茶店のある裏通りに行くと、私の活力となっていたあの癒しの香りが漂って来ないことに気付きました。定休日でも無いし、臨時休業の張り紙もなかったので、おかしいなと不思議に思いながら通勤していたのです。

奥様を亡くされていたことを周りに隠して喫茶店を続けていたと知人から聞き、マスターが心身共に無理をしていたのだろうと思い、何もできないもどかしさで辛く悲しい気持ちでいっぱいになりました。

それから半年が過ぎ、マスターはお店を再開してくれましたね。そのまま店を閉めるつもりだったと聞いた時には胸が苦しくなりましたが、今は柔らかい笑顔がマスターに戻り、ほっとしています。

マスターの淹れるコーヒーは格別ですし、笑顔にも癒されています。マスターの喫茶店は私達の心のオアシスです。再開を心から喜んでいます。でも無理だけは禁物ですよ。マスターのペースで長く続けて下さると嬉しいです。再開してくれてありがとうございました。

お気に入りに入れる