おっとりは世界を救う

ありえないほどおっとりな旦那さんへ

私はしょっちゅう些細なことであたふたし、この世の終わりであるかのように大騒ぎします。
かと思うと、ちょっとしたことで大喜びし、この世で一番の幸せ者だと大騒ぎします。

またある時は、どうでもいいようなことで深く傷つき、自分の殻に閉じこもります。
そして、しばらくすると何かを悟りきったような気がして、何でも許せると勘違いして社会生活に戻っていきます。

そんなメンタルの波がものすごく激しい私は、本来は誰かと一緒に暮らすのには向いていないでしょう。
けれどもあなたは、そのありえないほどのおっとりさで、私から発せられる波をのらりくらりとかわし、いつも穏やかにそこにいます。

正直、出会った頃は、「こんなに感情に起伏のない人がいるんだ」とびっくりしました。
そして、感情表現の乏しい変な人なのかなあと思ったりもしたものです。

けれども、１０年以上一緒にいて、今ならわかります。
あなたは、私なんかより、ものすごく大きな器の持ち主なのだと。
私の荒ぶる波も、その器で受け止めてくれているのだと。

直接はなかなか言えないので、ここでこっそり言います。
いつも受け止めてくれてありがとう。
そのおっとりは、世界を、少なくとも私の世界を救ってくれているよ。

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