遅すぎたありがとうの言葉

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ばあちゃんへ

両親の離婚を機に、3歳の頃から祖母と同居を始め高校卒業まで一緒に住んでいました。

母は仕事で忙しく、保育園のお迎えやご飯支度など私のお世話はほとんど祖母がやってくれていました。
母よりもたくさんの時間を共有していたので、ケンカもたくさんしました。

高校を卒業し、大学へ進学することになった私は1人暮らしを始めることになりました。
正直、口うるさい祖母と離れ自分の好きなように生活ができることを嬉しく思っていました。

そんなある日、夏休みに祖母と暮らした家に帰ると祖母の様子が以前とは少し違っていることに気づきました。
心配症が酷くなっていて、トイレも大変そうになっていました。
私はショックを受けました。

月日は流れ、私は就職し忙しさから祖母と暮らした家になかなか帰れなくなっていました。
ある日母から電話があり、祖母が認知症と診断され母の勤める介護施設に入るということを聞かされました。
私は少しホッとしました。
私の知り合いもいるし、介護施設ならみんなで看てもらえる。
何より母の負担が減るからです。

その後、私は結婚し子どもを授かりました。
子どもがお出掛けできるようになると、祖母のいる施設に遊びに行くこともありました。
もう話しすることができなくなっていましたが、小さな子どもを見ると何となく表情が優しくなったような気がしました。

しかし、娘が幼稚園に入ったころ祖母は他界してしまいました。
棺に花を手向ける時、私はやっと「ありがとう」を言いました。
もっと早く伝えるべきだったと後悔しました。

今でも祖母に教えてもらったことは忘れていません。
今度は子どもに伝えていきたいと思っています。

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