もう届かないありがとう。

お母さんへ

若年性アルツハイマー病になってしまったお母さん、もう私のことは忘れてしまったね。

この病気になってしまったことが分かってから、「もうなんでこんなこともわからないんだろう！ばい！ばか！」と苦しみ、毎日泣いていたね。私は、どんな顔をしていいかわからなくて、一緒に泣くことしかできなかったね。
こんなに早く病気が進むとは思わなくて、日々の暮らしに精いっぱいで、今までの感謝を伝えられないまま今の状態になってしまいました。
お母さん、本当に今までありがとう。

反抗期のときはいっぱいひどい言葉をぶつけてしまったよね。お母さんも、それに負けじと大ゲンカになって笑、今となっては笑えるけれどすごい戦いをしたよねー。
それでもお母さんは毎日お弁当を作ってくれたね、毎日お洗濯をしてくれたよね、毎日家をきれいにしてくれたよね。
なんで私はそんな簡単なことに気づかなかったのかな。毎日ありがとうって伝えなかったのかなあ。

大人になってお酒が飲めるようになってからは、一緒にお酒を飲んでたくさんおしゃべりをするようになったよね。
お母さんの作る料理のレシピ、もっと習っておけばよかったなあって後悔しているんだよ。
私はお母さんの娘で幸せだよ。お母さん、私はお母さんのこと忘れないから、もう自分を責めるのはやめて、ゆっくり毎日を過ごそうね。

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