あなたへの、初めてのお手紙です。

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大切な友人へ

いつも通りの日常だった。収入がほとんどない私たちにとっては、それは最大の娯楽と言っても過言ではなかった。美味しいものを食べ、月に2回はカラオケでストレス発散。これがここ数年のルーティンでしたね。

でもある時それが崩れました、理由は私。お金を使い過ぎてしまったのです。それでもあなたは嫌な顔ひとつせず

「また女の子に課金してー」「それで、今度はどの女の子?」
と、 興味津々で聞いてくれましたね。友人が少ない私には、とても嬉しい問いかけでした。
また、ある時それが崩れました。今度の理由は、あなたにあります。

私の浪費が落ち着いて、ルーティンであったカラオケを、回数を増やして行こうかという話をしていました。その帰り道、いつものように
「今日のカラオケ楽しかったね」「またおいしいご飯食べに行こうね」
それが、彼の最後の言葉でした。

彼はカラオケの後、倒れて緊急搬送されました。事態が飲み込めませんでした。
私は後悔していました、彼が倒れる直前に、こんな問いかけをしたのです。

「私たちって、何歳まで生きられるのかな」
「まあ少なくとも、普通の人よりは生きられないだろうね。40代ぐらいかな」
そんなことを笑って話してくれました。
「もうちょっと長生きしようよ」
「こんな病気だからね。いつ何があるかわからないからね」

まるで彼が倒れることが分かっていたかのように、私はその質問をしてしまったのです。自分を責め続けました、来る日も来る日も責め続けました。夜が来ることが恐怖でした。

その後も、彼の容態は悪化することばかりで、意識があるのかどうかも分かりません。でも今、彼の容態が落ち着いて、一生懸命生きています。そして彼がいない生活が、こんなにも苦しく、 モノクロの世界で生きているかのように生きづらいこともあります。

でも、彼の母親が言いました。

「あの子も必死に生きている、だからあなたも毎日をいつものように過ごそう、なるようにしかならないから」

彼の母親の精一杯の強がりでした。

それから私は、彼の母親と一緒に、美味しいご飯を食べたり、散歩をしたりしています。未だにあなたと最後に過ごしたカラオケボックスには怖くていけませんが、あなたと過ごした毎日を胸にしっかりと刻みながら、生活しています。

彼が教えてくれた、人への感謝、行動への感謝、何事にも感謝する心。彼と過ごした数年で私はいかに自分が普段、ありがとうという言葉を避けていたかを思い知りました。


ここからは、友人への私信。美談に聞こえるかもしれないから、笑われるのを覚悟で伝えます。今回の件で、遅すぎるかもしれないけれど、あなたからたくさん学ぶことがありました。そして今、私にできることは、 あなたに私が体験した出来事をたくさん話せるように、話す技術を身に付けること。

あなたが大好きなコーヒーの香りで目覚められるようコーヒーの勉強も始めたんだよ、博識のあなたほど知識はないけれど。 あなたが帰ってくるの待っています。

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