返せなかった手紙

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たーちゃん

小学生の同級生だった「たーちゃん」
家庭の事情で中途半端な時期に転校してきた私を、
あなたは優しく迎え入れてくれたね。
「ありがとう」

当時の私は家庭の事情で、したくもない転校を繰り返していた。
何回も転校をしていると、だんだん周りの反応にも慣れてくる。
最初は様子見、そして好奇心のおもむくがままの質問攻め、
そして目新しい時期が過ぎれは何ともない日常へ。

当時の私は、転校の理由や前に住んでいた場所の話などが、
とてもとても辛かった。なるべく話したくなかった。
でも新しいクラスメートと仲良くなるためには、
遠慮のない子供達の質問に、答えていかなくてはならない。
当時の私はいつも学校にいくのが嫌だったかな?

でもたーちゃんは違った。
余計なことは聞かずに一緒にいるだけで優しい気持ちになれる雰囲気。
きっと私の気持ちも微妙なところを察してくれていたのかな?
何となくだけど、たーちゃんのお家も同じような事情を抱えていたみたいだし。

転校からしばらくすると、学校でも放課後でも、
いつもたーちゃんと過ごす事が日課になっていた私。
そして突然のたーちゃんとの別れ。お家の事情でたーちゃんが転校する事に。

泣いてばかりでちゃんと言えなかったけど、
「ありがとう」
たーちゃん。今ならちゃんと言えるよ。

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