大切な帽子を拾ってくれてありがとう

親切な通りすがりの方へ

昨年の今ごろのことです。普段は地元でのんびりした生活を送っているのですが、その日は昔お世話になった方に会うため、東京の都会の大通りを歩いていました。

真冬の寒さと久しぶりに都会に出てきた緊張感で、少し上の空なところがあったかもしれません。強い北風が吹いているのにもかかわらず、かぶっている帽子が飛ばされないように手で抑えることをしていませんでした。

信号待ちをしていて、目の前の信号が青になったので横断歩道を渡ろうとしたその瞬間、その帽子は見事に風にあおられて飛んで行ってしまったのです。あっという間に大通りの真ん中まで帽子は飛んでいきます。

私は、ほかの人の注目を浴びていることに恥ずかしかったのと、突然のことでその場に突っ立っていました。帽子は広い道路の中を舞っています。どうしようかと帽子を目で追いながらも頭の中は真っ白でした。

そのとき、大通りの向こう側に男の人が立っているのが見えました。そして、その人は帽子の動きについていって走ってくれ、歩道に落ちてきた帽子をキャッチしてくれたのです。その後も私が大通りを渡るまで、帽子を持って待っていてくれました。

その方もお忙しいところでしょうに、なんて親切な人なんだろうと感謝の気持ちでいっぱいでした。無事に戻った帽子は、今も親切な方の思い出とともに大事にしております。

あのときの親切な男性、本当にありがとうございました。

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