見守ってくれてありがとう。

お向かいさんへ

私は、仕事をしながら子育てと家事に追われ、目の前にあることをこなすだけで精一杯の生活を送っていました。時が過ぎて息子が巣立ち、今度は娘が家を離れるという時、夫も転勤になり家族4人それぞれの生活をすることになりました。

二人分の引っ越しをおえ、これからは一人の時間を有意義に使って仕事も頑張っていこうとやる気満々になっていました。しかし何なんでしょうか、自由な時間はただテレビを見ていることだけに費やす日々になっていました。

こんなんじゃダメだと自己嫌悪に陥ってた頃「ピンポーン」と玄関のチャイムが鳴り出てみると、お向かいのお祖母ちゃんが良い匂いのおでんを持ってきて、「これ食べて」「一人でもちゃんとご飯食べなきゃ」「野菜不足には青汁だよ」と言って帰って行きました。

一人になってからやる気がなくなり食欲もなくやつれて見えたのでしょう。
おでんの匂いは家族4人が食卓を囲んだ様子を思い出させ、大根は芯から体を温めてくれました。本当だったら離れた家族の支えにならなきゃいけないのに自分だけが寂しいんじゃないのに…。お向かいさんのおでんで涙が出てきてしまいました。

思い返してみれば、雨が降ったときは洗濯物を避難させてくれたり、子供がカギを忘れて家に入れない時は待たせてくれたりとお世話になってきました。その度にお礼を言ってきましたが改めてお礼を言わせてください。子育て中も今も見守ってくれて感謝しています。本当にありがとうございます。

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