今は天国にいらっしゃいますか？

血のつながりのない「お母さん」へ

私があなたの許を去って、ちょうど15年になります。厳しい寒さが続き、あなたはきっとリウマチの痛みやあちこちの体の不調に苦しんでいることかと思います。もしかすると、もう既にお亡くなりになってしまったのかもしれません。

離婚して家を出た嫁と、夫の実母という立場上、私たちは連絡を取る事もできず、通信機器に疎いあなたは携帯電話も持っていませんでしたから。数年前に親戚筋からあなたが要介護になったという話を聞きました。あんなにやさしくしていただいたのに、私は何ひとつあなたのお手伝いができないことを、悔しく思い涙しました。

実家で虐待を受け、実の親からは優しい言葉一つかけてもらったことがなかった私は、嫁ぎ先で、姑という存在のあなたと、はじめはなるべく接しないように逃げ回っていました。しかし、家業を家族全員でやる生活でしたから、どうやったって日々接触することになり、おかげで次第にあなたの優しさに癒されていきました。

体調が悪かった時に、「病院に行ってきなさい」と言ってくれたことは忘れられません。崩壊家庭では、体調不良で病院に連れて行ってもらえたことはなく、「どうして具合が悪いのだ！」と怒鳴られ、殴られていましたから。

その通院がきっかけで、長年苦しんでいた体調不良の、正体がわかりました。結果的に、子どもが産めない事が分かった私は、後継ぎを願う義父と夫と意見が合わず家を去りましたが、あなたとは一緒に暮らしたかった。誰に対しても優しかったあなたの、介護をさせていただきたかった。

今の私が精神的にも肉体的にも立ち直り、生きていかれるのはあなたのおかげでした。まだ生きていらっしゃったらどうぞ健やかに、亡くなってしまわれていたなら天国で幸せになっていただきたいと、心からお祈りいたします。

体の痛み、心の痛みを抱えつつ、誰にでも優しく朗らかに毎日を行きぬき、私というどうしようもない人間に、生きる力を与えてくださってありがとうございました。

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