私を育ててくれてありがとう

お父さんへ

生きている間にありがとうという言葉を言えずに
４０年が過ぎました

ありがとうという言葉を言えないまま
もう会うことができないお父さんに
いまだからありがとうという気持ちを
伝えたいと思います

私が小さいころから仕事ばかりで家にあまりいることがなく
なかなか話をゆっくりすることもできませんでしたね

昨年、入院した結果末期の肝臓がんと判明し
余命宣告された時は家族全員で悲しみました

それとともに今までお父さんと過ごした
思い出が回想される機会が増えました

私が小さいころは製薬会社に勤めていて
家の中では寡黙でしたが
いつも私の心配をしてくれていました

私が不自由なく義務教育を終えて
美術の専門大学に行くことができたのも
お父さんが仕事で頑張ってくれていたからだと
今振り返るとそう思えます
ありがとうお父さん

年齢を重ねるごとに
私が家を出たり
結婚して家庭に入り子供も出来て
なかなか実家に帰ることも減りました
お父さんも仕事が変わったりして
さらに話す時間は少なくなっていたけど
たまに会ったときには
黙ってお酒を一緒に飲む時間を
作ってくれましたね
その時間は今思えばかけがえのないものでした
一緒にお酒を飲む時間は楽しかったよ
お父さんありがとう

肝臓がんと発覚して
余命宣告されてからの２か月間
お父さんの事を考えない日はなかったです

病院にお見舞いに行っても
楽しい会話ができなくてごめんなさい
いつも３人兄弟のなかで
一番心配をかけてごめんなさい
同じ時期に私は離婚の調停中で
お父さんは自分の身体よりも
最後まで私のことを心配してくれていましたね

生きている間になんで感謝の気持ちを
素直に伝えることが出来なかったんだろう
もっとたくさん話をしたかった

今はそう思うことしかできないけれども
もし会うことが出来るなら
今までの思いを振り返って
素直に伝えたい
私を育ててくれてありがとう

ありがとうお父さん

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