初めて気づいたこと

父へ

父に面と向かって言うことはまだ出来そうにもないですが、最近初めて父に感謝の気持ちを感じることができました。

私の家庭は、父子家庭です。私が小学生の頃に母が出て行き、中学入学の際にいつの間にか離婚していたことを知りました。

中学校へ入学した頃には、家計は火の車になり父は苛々することが多くなりました。私や妹に手を挙げたり暴言を吐いたりすることも増えました。本当はやりたかった音楽や絵の勉強も、させてもらえるはずもなく、父を恨みました。

社会人になり、家族と距離を置きたく遠方で就職しましたが、仕事や生活をすることへ苦痛を感じることはなく、父のことを軽蔑する心だけが更に大きくなりました。

しかし、最近、人からのご依頼で絵を描くことになり、初めてお仕事として絵を描き分かったことがありました。それはお金を稼ぎ生きていくことの大変さです。正直なところ、これまで父の能力や器量の無さ故の環境だと考えていましたが、今になって初めてあの時の父は私たちや自分自身を生かすだけで精一杯だったのではないかと思うようになりました。

ここまで生かしてくれてありがとうございます。出来もしない家事をやろうとしてくれてありがとうございます。自分のためにもならない私たちのお世話をしようとしてくれてありがとうございます。早起きが得意でないのに、新聞配達のバイトまでして生きていくお金を作ってくれてありがとうございました。

きっとまだ言えはしないですが、いつか今のこの気持ちを父に伝えようと思います。お父さん、ありがとう。

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