- 02 お父さんへのありがとう
- 2019.07.24
母の代わりに
父親へ
小学生6年生くらいの時期に母親が交通事故にあって長期的な入院を余儀なくされた。命に別状は無いけれど両足を骨折してしまい回復するまでの間、家事全般を父が一人でする事に。当然、日中は仕事があり帰宅してから炊事や洗濯をする日々に体力的にも精神的にもキツイ状況だったかも知れない。
そんな状況にもかかわらず、私は自分の事ばかりでわがままを言ってしまっていた。
洋服に皺がついてるとか、料理がまずいとか、色々と言いました。馴れない家事だけでも大変なのにと今なら申し訳なく思うのですが、当時の私は父が母の代りになる事で母の存在が不要と思われてしまうのではないかと良く分からない思考で、父と母とを比較してはダメだしをしてしまいました。
そんな最中、社会科見学にてお昼に食べるお弁当が必要になりました。普段なら母が早起きして作ってくれるお弁当ですが、今回は入院している為に父が作る事になます。母の作るお弁当は彩りが良くちょっとしたデコレーションが施されていて友達にも評判がよくちょっとした自慢でもあります。
朝目覚めて、仕度を終えると父はナプキンに包まれたお弁当を手渡してくれました。中を開けたいけど見てしまうとまた文句を言うかもとお礼だけを述べて鞄にしまい。そのままお昼に。
一体どんなお弁当を用意してくれたのかとドキドキしながらお弁当を開けると立派な鰻重がそこにありました。ウナギとご飯以外には何も無いお弁当に唖然となる私とウナギに盛り上がる友達。あまりにも男らしいお弁当に恥ずかしくなり急いで食べました。
家に帰り文句を言うと私がウナギが好きだから喜ぶと思ってと言われました。
確かに好きだけど、人に見られるお弁当なのでもう少し考えてほしいと言うと父は悲しそうにすまんと項垂れてしまいました。思わず言い過ぎたかもとハッとしましたが、今更怒りを払って対応する事も難しくそのまま話は流れ。母は退院。以降父が料理をする姿は見れなくなりました。
あの時は不満ばかり言っていましたが、今となっては母の代りに家事をしてくれた父には感謝しています。
料理はまずいし、お弁当は鰻重だったけれど、良い思い出です。
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