小さな靴下

母へ

つい最近母から、私が生まれる前に編んでいた靴下を渡されました。
今は手の指しか入らない、とても小さな靴下です。
生まれてくる私のことを想って編んだ靴下だそうです。

うちは父が思いやりに欠けた人なので、母は私が生まれる前から苦労したそうです。
お腹がどんどん大きくなっても、風呂掃除とかトイレ掃除とか家事全て母がやっていたそうです。

父は仕事から家に帰った途端酒を飲み、暴れていました。
あんな大きなお腹で、ひとりで全て抱え込むなんて…
当時の母の姿を想像すると、なんだか泣けてきます。

そんな大変な中でも、私を想って靴下を編んでくれました。
母の愛が伝わってきます。

なんだか最近母が小さく感じます。
それは母が年老いたせいでもありますが、それだけ私が大きくなったんだと思います。

ここまで大きくなるまで育ててくれてありがとう。
小さな靴下は、私の大事な宝物です。

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