あのとき喜んでくれてありがとう

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亡き祖母へ

あなたとの思い出といえば、もう20年ほど前になるあなたの誕生日のことです。
私はその日があなたの誕生日というのをすっかり忘れており、発覚したときにはずいぶんと焦ったものでした。

当時まだ小学生だった私は、なんとかプレゼントを準備しようと、あなたの家にあった布の切れ端を縫い合わせ、きんちゃく袋を作りました。
今思えば適当もいいところですし、そもそもあの布はあなたのものだったので、プレゼントと言えるほどのものではありませんでしたね。

私も、あなたにプレゼントを渡したいというより、あなたの誕生日を忘れていたことを知られたくないという気持ちで作っていたように思います。
本当に、今まであなたが貰った中で最低のものをあげてしまったのでは?と、今になって思います。

それでもあなたは泣くほど喜んでくれて、その日から小物入れに使ってくれました。
部屋にずっとおいてあるきんちゃく袋を見るたびに、嬉しいやら恥ずかしいやら申し訳ないやら、いろんな気持ちを抱えていました。

あなたが亡くなってもうすぐ一年です。
遺品整理をしているときに、あの日のきんちゃく袋を見つけて、あまりの下手くそな縫い目に思わず笑ってしまいました。

あのとき喜んでくれてありがとう、おばあちゃん。

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