いつもごめんね、ありがとう

お父さんへ

お父さん、いつもキツイことばっかり言ってごめんね。
でも本当はとても感謝しています。ありがとう。

私の名前はお父さんがつけてくれたと聞いています。
昔からこの名前が好きだったからと聞いていますが、
本当のことはよくわかりません。
お母さんが言うには昔好きだった人の名前だとか
小料理屋の女将の名前だと夜のお仕事してる人の名前じゃないかと
いらないことをいろいろ吹き込まれましたが、そんなことはどうでもよく、
私はこどもの頃から自分の名前がすごく好きです。

お母さんは私の名前が未だにあまり好きではないようですが、
こんなに素晴らしい名前はそうないと思っています。
字の通りの人生ではないかもしれないけれど、
私は仕事をして好きなことをやってそれなりに幸せに生きています。
端から見たら結婚もせずぷらぷら生きているように見えるかもしれないけれど、
自分なりに将来のことを考えつつ、暮らしています。
だから心配しないで。

思春期に反抗期らしき反抗期がなかったために、大人になってから
急に反抗的な態度を取るようになりました。
よくぶつかって、許しがたい一言を言われたこともありました。
私が悪いわけでもないのに理不尽な怒られ方をしたこともありました。
それはお父さんが老いというものと向き合わなくてはいけなくて、
表には出さないけれどお父さんなりにいろいろと悩んでいたんだなと
今ならわかります。
それはきっと私も年を取ったから。

あとどのくらいいっしょにお酒を呑めるかわからないけれど、
できるだけ長く健康でいてください。
また帰ったら、いっしょにお酒を呑もうね。

いつもありがとう。

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